多世代共生居住プロジェクト
これからの都市・地域、そしてコミュニティや社会システムの持続性を考えたとき、何が必要になるだろうか?
我々は「高齢者と子育て層の共存共生」がその重要なカギになると考え、新たな居住のカタチを創っていきます。
これから本格化する高齢者社会に対する居住のソリューションは、未だにその提案が遅れています。全てを「施設」として考えていては、精神的・経済的な問題は解けないでしょうし、”コミュニティづくり”のための後付けの手段にも限界があるのです。
これまで日本でも、コーポラティブハウスやコレクティブハウスの実践が多くかさねられてきましたし、団地再生、あるいは分譲マンションにおいても、コミュニティを醸成するためのさまざまな工夫が行われてきました。この数年は「多世代共生」という言葉もそこかしこで聞くようになりました。
我々はこのテーマにおいて3つの戦略を持っています。
トガったモデル事業を実現すること。
ベネフィットにフォーカスした形を創ること。
都市・地域の持続戦略、デザイン戦略と同期させたプログラムを組むこと。
トガりは様々なかたちがありえますが、いずれにせよ重要なのは、高齢者や子育て家族を固定観念的なイメージでとらえず、むしろ彼らの”B面”つまり隠れた趣味やエネルギー、創造性を発揮させるような環境を考えること。例えば、60年代に始まったロック初期に青春を生きた人たちが高齢者になる史上初めての「ロック好きシニアの時代」がこれから始まるとすれば、音楽を本格的に楽しみ、子供も一緒にセッションできるような住まいがあってもいいわけです。
そして、お題目が現実にworkするためには具体的な「ベネフィット(利得)」が必要であり、その一つのあり方が、子供と高齢者が同じ場所で”互いに見える”、”助け合える”関係にある環境だと考えます。働く母親にとっても余裕が生まれ、子供は多様な人間関係を持ち、高齢者は元気になれる。そこにフォーカスを絞った業態開発。
また、公共セクターと連携することで財政的な解決をともないながら、新しい豊かな生活像を提示し、都市経営戦略の一手としても機能させるべくシナリオを考えるべきものと考えます。
これは、リノベーションでも、新築でのエコロジカルな低中層集合住宅の開発でも実現できるものです。当社は一定の投資リスクも取る形で、これから世に問うていきます。
<イメージイラスト:廃校再生によるパブリックセンターと隣接開発する多世代共生コレクティブ住宅>